Japanese
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特集 腹痛を見直す
泌尿器科医の目からみた腹痛
Pain in the urogenital region
相戸 賢二
1
Kenji Aito
1
1浜の町病院泌尿器科
pp.474-476
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900146
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ポイント
泌尿器科医が腹痛患者を診る際,次の2段階に考えている.
・第1段階:まず緊急手術を要する疾患を検討する(本号の総論参照).
泌尿器科的には次の2つが代表.
①腎破裂:奇形や腫瘍などの基礎疾患があると,外力による損傷を受けやすい.血圧が進行性に下降すれば手術的治療の適応となる.破裂診断にはCTスキャンが有力.
②精巣捻転症:男児に発生する急性陰嚢症(→1)の代表.緊急整復手術を要する(後述).
・第2段階:緊急手術が除外されたら,泌尿器科的「腹痛」の要因を検索する.
①腎に原因:左または右の側腹部に疼痛が発生し,下腹へ放散する.患側と反対側に疼痛を訴えることもある(→2).プチの腰三角(→3,図1)の打痛が特徴的.
考慮すべき疾患⇒腎結石,結石嵌頓による急激な腎孟内圧上昇,その結果の腎孟破裂,急性腎孟腎炎,腎周囲炎,腎カルブンケルなど.
②尿管に原因:疝痛と呼ばれる痙攣性疼痛を側腹部に訴え,腰部打痛および下腹・会陰への放散痛を伴う.筋性防御や反跳圧痛は認めない.
考慮すべき疾患⇒尿管結石,尿管癌,後腹膜線維症など.
③下部尿路に原因:膀胱や前立腺疾患では,恥骨上部に加えて会陰部にも鈍痛や不快感を訴える.排尿痛,頻尿,残尿感を伴うのが特徴.
考慮すべき疾患⇒急性膀胱炎,膀胱結石,急性前立腺炎など.
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