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Case
左下腹部痛と左陰囊痛を主訴に救急受診した男性
患者:22歳,男性.
主訴:左下腹部痛,左陰囊痛.昼の0時ごろから左下腹部痛があった.某救急室を受診して,S状結腸憩室炎または胃腸炎といわれ整腸剤を処方された.その後も左下腹痛は続いていた.夜10時ごろから,左精巣痛を自覚した.悪心嘔吐はなし.左精巣腫大して疼痛が強くなったため当院救急センターを受診した.
身体所見:血圧 120/70mmHg,脈拍 70/分,体温 37.2℃,呼吸数 20/分.左下腹部から鼠径部に自発痛あるも圧痛はなく,左精巣が腫大して圧痛著明であった.左精巣は腫大し下端部は右精巣よりも低位にあり,挙睾筋反射は弱いが存在し,左右差はない.カラードプラでは左精巣は,白膜直下に血流を認めるも精巣内部は血流なし,低輝度エコーが散在してかなり腫大している(図1).グレイスケールでは精索はねじれているように見え,いわゆるくるくるサインを呈していた.
検査結果:血液検査;WBC 13.2/μl,RBC 5.93×104/μl,Hb 17.2,HCT 50.6,MCV 85,MCH 29.0,MCHC 34.0g/dl,CRP 1.16mg/dl.尿検査;比重 1.024,pH 6.0,糖半定量(-),蛋白半定量(+-)10,潜血反応(+-)0.03,アセトン半定量(-),ビリルビン(-),ウロビリノーゲン(+-),尿沈渣 赤血球 5-9/HPF,白血球 1-4/HPF,扁平上皮 1個未満/HPF,粘液糸 1(+).
経過:左精巣捻転症の診断で緊急手術となった.精索部への浸潤麻酔に加え局所麻酔で手術を行った.
左精巣は足元から見て時計方向に180度回転していた(図2).やや,黒色調で腫大していたが捻転解除後は色調はややピンク色となった.精巣鞘膜が精索まで覆っていて,いわゆるBell clupperの形態であった.精巣鞘膜内でシルク3-0で3点固定した.右精巣も固定した.
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