Japanese
English
特集 腹痛を見直す
婦人科領域の腹痛
Abdominal pain caused by obstetrical and gynecological diseases
神津 弘
1
Hiromu Kohzu
1
1聖路加国際病院産婦人科
pp.478-481
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900147
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ポイント
女性が腹痛を訴えた時には,常に患者のライフサイクルを念頭におき,次のことに配慮し,病態を総合的に究明すべきである.
・年齢,性周期や妊娠との関連,器質的あるいは機能的障害のいずれか.
・痛みの部位,性状,発症様式や時間的経過,随伴症状などにつき,詳細に問診する.
・婦人科疾患の腹痛には次の特徴がある.
①左右の臍棘線(→1)より下部に発生し,骨盤腔に近づくと増強する.
②内性器感染症では上行感染が起こりやすく,重症化しやすい.
③不正出血,膿性帯下を伴うもの,月経時や,その直前,直後に多い.
④妊婦で下腹痛と性器出血がみられる場合には,妊娠初期の流産や,子宮外妊娠(以下外妊と略),中期から末期では早産,常位胎盤早期剥離,子宮破裂がある.
⑤近年,疼痛が主訴の子宮内膜症が増加している.
⑥女性には心身症性の痛みが多い.
・急性腹症では上記の項を考慮し,他科領域の疾患(表1)と鑑別して,緊急開腹術の適否を判別する.
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