Drug Information 薬を安全,有効に使うには・4
ヒスタミンH2受容体拮抗剤による血液障害
高橋 隆一
1
Ryuichi Takahashi
1
1国立東京第二病院
pp.423
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900132
- 有料閲覧
- 文献概要
1976年,ヒスタミンH2受容体拮抗剤として初めてシメチジンが市販されて以来,消化性潰瘍の治療成績は急速かつ著しく好転し,手術例の著名な減少を示すに至っている.さらに1981年にラニチジン,1985年にファモチジンが市販されて広く使われている.しかし,一方ではこれらの医薬品による副作用として血液障害,特に重症例の報告があり,注目されている.最初に市販されたシメチジンによる症例が最も多く,同系薬による血液障害の80%を占め,発現頻度は10万人当たり2.3人と報告されている.内容別にみると,白血球減少が50.7%と最も多く,ついで血小板減少(20%),二系統の血球減少(12%),汎血球減少(12%),貧血(5.3%)となっている.ラニチジンによる血液障害の報告は,シメチジンに比べて少ないが,やはり白血球減少が50%と最も多く,ついで血小板減少(40%),汎血球減少(10%)となっている.ファモチジンは,シメチジン,ラニチジンとは構造が異なり,効力も強く,安全性も高いとされているが,最近,汎血球減少を認めた5例が報告され,しかも死亡例もある点からこれらの系統の医薬品の使用に当たっては症例を選択し慎重に使用することが重要である.
安全にしかも有効に使用するためにはどのように注意したらよいかについて述べてみたい.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.