こどものsocial medicine 病気とともに積極的に生きる・1
気管支喘息―1.治療の基本方針
弘岡 順子
1
Junko Hirooka
1
1聖路加国際病院小児科
pp.84-85
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900029
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気管支喘息は長い年月にわたって,急に起こる呼吸困難発作を反復する疾患であるため,喘息児自身はもとより家族や学校の先生など周囲の人々も発作を恐れ消極的な気持ちと生活へ陥りがちである.事実,発作は夜半~早朝にひどくなることがあり,遠足,宿泊・旅行などで起こることもあり,運動により誘発されがちである.そのため,患児は睡眠不足,休園・休校多発,運動ぎらいなどの状態となりやすく,周囲の人々も不安感から安静,運動制限,行事不参加などを選びがちとなる.このような気持ちと生活態度は,喘息自体を更に重症化させることになる.喘息発作が更に多発するようになると喘息児や周囲の人々の"発作を恐れた消極的な気持ちと生活"は更に固まる方向へ進み悪循環を形成しがちとなる.
こどもは日々,心身ともに成長しなければならないことを考えるとゆゆしき問題である.それでは喘息児の診療にあたる医師は,どのように患児と周囲の人々を治療・指導していくのがよいのだろうか.
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