こどものsocial medicine 病気とともに積極的に生きる・2
気管支喘息―2.日常生活へのアドバイス
弘岡 順子
1
Junko Hirooka
1
1聖路加国際病院小児科
pp.208-210
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900064
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JIM最近小児喘息が増えている.その理由として室内塵中のダニが増加しやすい住居や,胎児期から乳児期早期に鶏卵など抗原性の強い食物を摂取する機会が増えていることなどが挙げられている(→1).
このような住居や食生活の変化のほか,最近の子供の日常生活が以前と異なって来ていることも理由の一つとして注目すべきと思う.以前は外で暗くなるまで遊び,冷暖房もほとんどない風通しの良い住居での生活が普通であった.最近は,学校,家庭での心理的ストレスが増大する中,外で遊ぶ時間も場所も仲間も十分でないまま,密閉された狭い室内で過ごすか,管理されすぎたクラブ活動や水泳教室での運動が主となっている.子供が日常生活のなかで,知らずしらず心や体を鍛錬しつつ成長することが難しくなってきている.
喘息は病院での治療のみならず日常生活のありかたに治療のポイントを置くべき疾患であり,時代状況は喘息治療に適していないと言える.では臨床医はどのように対処すべきなのであろうか.
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