Editorial
特定領域の専門医が家庭医に変身するために
藤沼 康樹
1
1医療福祉生協連家庭医療学開発センター
pp.287
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103162
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筆者が指導している家庭医療専門研修プログラムにレジデント(後期研修医)として参加する医師のうち,それまで特定の専門領域(整形外科,循環器内科,小児科,麻酔科等)で一定のキャリアを積んできた医師の割合が増えてきている.レジデントになる理由はさまざまだが,やはり日本におけるヘルスケアの状況が変化してきていることを実感する.
日本における地域基盤型プライマリ・ケアの代表的な担い手である「開業医」にあっては,歴史的にもともと病院で専門医としてのキャリアを積んだ後に開業するのが一般的であった.こうした流れは過去の日本の人口構成と疾病構造にマッチしてきたため,有効に機能していた.しかし,日本は高齢社会を迎え,ヘルスケアのオペレーティング・システムのアップデートが必要になっている.たとえば,いわゆる過度の専門分化の弊害はプライマリ・ケアの現場,特に都市部における「高齢者ケアの分断」として顕著に現れている.今,総合診療医あるいは家庭医が求められる所以の一つである.
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