特集 気絶するほど悩ましい―危険な失神の見分け方
【稀であるが,重要な失神】
高安病
山口 賢一
1
1聖路加国際病院アレルギー膠原病科
キーワード:
高安動脈炎
,
失神
,
画像検査
,
狭窄
,
CRP
Keyword:
高安動脈炎
,
失神
,
画像検査
,
狭窄
,
CRP
pp.48-51
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103086
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Case
患者:13歳,女性.
主訴:発熱,腹痛.
既往歴・家族歴:特記事項なし.
現病歴:入院の10日前より腹痛,7日前より38.5℃の発熱を認めた.抗菌薬アモキシシリン(AMPC)と解熱薬(アセトアミノフェン)を処方されたが,発熱と間欠的腹痛が遷延し,さらに両膝関節痛・左顎下から前胸部にかけての疼痛が出現したため,精査・加療目的で入院となった.
臨床所見:身長164cm,体重51.0kg,体温38.0℃.両頸部と腹部に圧痛あり.頸部で血管性雑音を聴取.血圧123/71mmHg,左右差なし.
検査所見:白血球数12,500/μl,赤沈値114mm/1時間,CRP 16.2mg/dl.胸腹部単純X線写真にて異常なし.CT血管造影にて弓部から胸部大動脈・左総頸動脈分岐部・腹腔動脈・上腸間膜動脈に血管壁の肥厚を認めた(図1).頸部の超音波検査では,両側総頸動脈に壁肥厚を認めた.
診断:高安動脈炎.
経過:メチルプレドニゾロン点滴静注(1回20mgを1日3回)を10日間行い,CRPの陰性化(0.07mg/dl)を確認後,プレドニゾロン(PSL)50mg/日の内服に切り替えた.当初よりメトトレキサート(MTX)(12mg/週1回)の内服を併用した.PSLは1週後に40mg/日,2週後には30mg/日に減量し,その後は血液検査と超音波検査により再燃のないことを確認しながらPSLを漸減した.2年後にPSLの内服を終了し,MTXの内服のみ継続中.
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