特集 気絶するほど悩ましい―危険な失神の見分け方
【稀であるが,重要な失神】
肺高血圧症
大郷 剛
1
1国立循環器病研究センター心臓血管内科部門肺循環科
キーワード:
失神
,
肺高血圧症
,
予後
,
診断
,
若年者
Keyword:
失神
,
肺高血圧症
,
予後
,
診断
,
若年者
pp.46-47
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103085
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Case
患者:30歳,女性.
家族歴:特記事項なし.
現病歴:2011年6月より労作時呼吸困難を認めていた.2011年12月上旬,駅の階段を昇り切ったところで数秒間の失神発作があり,転倒し頭部打撲していた.12月中旬も坂道を早足で歩いていて,昇り切った後に約1分程度の失神発作を認めた.緊急で近医に受診するも特に問題ないとのことで帰宅.12月下旬に再度失神発作があり,再度近医受診され心電図,胸部X線にて肺高血圧を疑われ,総合病院に紹介となった.2012年1月,紹介先の総合病院にて心エコーにて著明な肺高血圧症を疑われ,1月中旬に当院に紹介入院となる.当院に入院となり,肺高血圧症の原因精査を諸検査にて行ったが,膠原病等の明らかな原因は認められず,特発性肺動脈性肺高血圧症と診断した.右心カテーテル検査上平均肺動脈圧が60mmHgと高値であり,心係数は1.2l/min/m2と著明な低心拍出量であった.急速に自覚症状も進行し,受診時はWHO機能分類Ⅳ度および頻回の失神を認めており,右心カテーテルの結果も著明な低心拍出量状態で重症肺高血圧症と診断し,カテコラミン投与下でエポプロステノール静脈投与を開始し,改善傾向となった.
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