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病歴
患者:80代,男性.主訴:ふらつき.
現病歴:10年ほど前から一過性の意識消失発作があったが,各種検査で原因不明のまま観察されていた.2年前に消化管出血のため消化器内科に入院し,その時,低Na血症と頻回のふらつき・失神を認め,総合内科に転科となった.迅速ACTH負荷試験の結果は正常範囲で,SIADHにも定型的でなく(尿中Na排泄が摂取量以上に亢進している腎性の塩類喪失状態,また水制限で低Na血症がむしろ増悪),mineralo-corticoid-responsive hyponatremia of the elerly(MRHE)と診断し,フルドロコルチゾンを開始,低Na血症および意識消失発作は消失した1).その後,総合内科外来で管理されていたが,半年ほど前より以前と同様のふらつきが出現するようになった.その際の血圧や脈拍数に異常を認めなかった.某日,外来受診時のルーティンの採血で血糖低値(52mg/dl)であり,入院となった.既往歴:5年前に脳梗塞.家族歴:母親 脳梗塞,父親 死因不明,兄 心筋梗塞.生活歴:現役の工場経営者.妻と2人暮らしで,ADLは自立.機会飲酒,喫煙は若い頃に少し吸った程度.アレルギー歴なし.入院時使用薬:フルドロコルチゾン0.1mg 1錠分1 朝食後,ラベプラゾール10mg 1錠分1 朝食後,アルファカルシドール0.5μg 1錠分1 朝食後,チクロピジン100mg 2錠分2 朝・夕食後,アスパラギン酸カリウム300mg 4錠分2 朝・夕食後.ROS:一般所見で食思不振,体重減少,浮腫,易疲労性,発熱,悪寒.皮膚で黄疸,色素沈着,皮疹.頭頸部で頭痛,視野/視力異常,複視,嚥下障害を認めず.心血管系,呼吸器系,消化器系,泌尿器系に特記すべきものを認めず.内分泌系で多飲/多食,発汗.筋骨格系では関節痛/筋痛.神経系では意識障害,記銘力低下,痙攣発作,構音障害,麻痺を認めなかった.
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