Editorial
どこかに行きたいという希望を叶えるために
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部総合研究センター臨床研究統括部
pp.643
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102927
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ロコモティブというと蒸気機関車SLのイメージが強く,2007年に提案された当初,日本生まれのロコモティブシンドロームという名称には少々違和感があった.しかし,高齢化に伴うバランス能力および移動・歩行能力の低下によって閉じこもり・転倒がおきるというロコモティブシンドロームの概念はわかりやすく,日本医師会や整形外科学会,マスコミの広報活動で急速に一般化した.診察室内に日本医師会のロコトレのポスターを張り,機会あるごとに,転倒予防のための運動療法を患者に薦めてきたが,メタボ以外は他人事だと思っていた.ところが,最近ショックなことが続いている.通勤途中,自分では普通に歩いているはずなのに,若い男性職員が横を追い越していく.「高齢者の歩行の特徴は歩行速度の低下で,自由歩行では50歳台から」(p.652)という記載をみて,運動能力が低下していたことに気づかされた.「ロコチェック」(p.656)の7項目では家の廊下のゆがみにつまずくことがあるので1点,本を積み重ねて試した「立ち上がりテスト」(p.657)では20cmでふらついて立てなかったし,「2ステップテスト」(p.658)は1.47と60歳台(1.42±0.14)並,ロコモ25(p.684)で4点だった.本特集を読む前に,ご自分のロコモ診断をお勧めする.きっとロコトレ(p.665)を読む意識が違ってくる.
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