特集 実践!家族アプローチ
【コラム】
災害医療における家族サポート―行方不明者家族への支援
瀬藤 乃理子
1
,
石井 千賀子
2,3
1甲南女子大学看護リハビリテーション学部 災害グリーフサポート(JDGS)プロジェクト
2ルーテル学院大学
3東京女子大学
pp.824
発行日 2012年11月15日
Published Date 2012/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102657
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災害が生じると,大切な人や家や家財,仕事など,一度に多くの喪失を経験することが少なくない.2011年3月11日に起こった東日本大震災も同様であったが,この震災がこれまでの自然災害と異なり特徴的であった点は,行方不明者が3千人を超す数にのぼったことである.
「家族が行方不明であること」は,残された人の悲嘆を複雑化させる要因の1つとして知られている.Pauline Bossは,行方不明という状況を「あいまいな喪失:ambiguous loss(以下,ALと略す)」と名づけ,悲嘆を凍結させ,家族機能を低下させる要因になることを述べ,家族療法の視点にたつ独自の介入理論を提唱している1, 2).
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