シネマ解題 映画は楽しい考える糧[58]
「惑星ソラリス」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.311
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102476
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古典的SFの名作が問う「人間とは何か」
160分の古典的なSF作品.最も哲学的な映画作品の一つかもしれません.初めて鑑賞したのは大学時代に劇場でリバイバル上映をしていた時でしたが,オールナイトのマラソン上映作品のうちの一つだったため熟睡した記憶があります.その後DVDを購入し二度鑑賞しましたが,非常に思索的な作品で,とても大きな倫理的・哲学的問題が語られるため,すべてを理解したとは到底言えません.数年の時間をおいて再見し,すべてのメッセージを読み取る挑戦をしたいと思っています.もっと年をとり,かつもっと賢くなっていたらうまくいくかもしれません.
舞台は太陽系からはるか離れた,他の銀河系のソラリスという星を研究する宇宙ステーション.ソラリスを研究しているチームと地球本部とのコミュニケーションがうまく取れず,研究成果も上がっていません.研究を続けるか中止するかを判定するために,心理学者のクリスが送り込まれました.三人の研究者がいるはずの宇宙ステーションには二人しか残っておらず,もう一人は自殺したことをクリスは知ります.二人の研究者以外に,なぜか子どもが時々出現します.研究所内は荒廃し,研究者らも心を閉ざしていました.何が起こっているかもクリスに説明してくれません.
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