特別増大特集 新型コロナウイルス・パンデミック—今こそ知っておきたいこと、そして考えるべき未来
[Ⅲ章] 「ヘルスケアシステム」や「社会」は構造的にどう変わったか、変わっていくか
—「文学」の視点から—“ソラリス”としての新型コロナウイルス
福嶋 亮大
1
1立教大学 文学部文学科文芸・思想専修
キーワード:
新型コロナウイルス
,
言葉と現実の乖離
,
隠喩としての病い
,
結核と文学
,
平成と心の閉塞
,
SF的想像力
Keyword:
新型コロナウイルス
,
言葉と現実の乖離
,
隠喩としての病い
,
結核と文学
,
平成と心の閉塞
,
SF的想像力
pp.69-73
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202958
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言葉への負荷
私たちは病気になると、当たり前に思えていた日常が、いかに奇跡的なバランスで成立しているかを痛感する。哲学者のニーチェに「病者の光学」という言葉があるように、病いは日常そのものの例外性を照らす光なのだ。
新型コロナウイルス感染症の流行にも、そのような一面がある。文学の研究者である私の立場から言えば、パンデミックは、医学的なテーマであるのみならず、人文的な「光源」でもある。なぜなら、それは言葉やコミュニケーションに関わる諸問題を改めて浮き彫りにしたからである。
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