医療従事者のための医療論理学入門
23.判断能力に問題がある患者の診療における倫理的問題・1
浅井 篤
1
,
大西 基喜
2
,
福井 次矢
3
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療倫理学
2京都大学医学部附属病院総合診療部
3京都大学医学部附属病院総合診療部臨床疫学
pp.1072-1074
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903440
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〔ケース1〕不可逆的昏睡状態患者
重症脳出血のために2年以上前から不可逆的昏睡状態になり,両下肢の広範壊死を合併していた70歳の女性患者の経管栄養が中断され,そのために死亡したという事件が新聞で報道された.経管栄養の中断は,主治医,看護婦と親族同然に面倒を見ていた男性の合意のもとに行われたという.本人や家族の意思の確認は行われなかったが,経管栄養という延命治療を中断した意図は,「人道的で自然な死」を迎えさせるためであったという.このような判断は倫理的に正しいだろうか.
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