特集 思春期女子への診療―ティーンズとどう向き合いますか
スペシャル・アーティクル
キャリーオーバー疾患における家庭医の役割
佐古 篤謙
1
1湯郷ファミリークリニック
キーワード:
慢性疾患をもつ子ども
,
思春期の発達課題
,
Medical Home
,
乳児期から成人に至る継続性
,
専門家との連携
Keyword:
慢性疾患をもつ子ども
,
思春期の発達課題
,
Medical Home
,
乳児期から成人に至る継続性
,
専門家との連携
pp.830-833
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102316
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キャリーオーバーとは
キャリーオーバーとは「(未解決のまま)持ち越す」という意味をもち,わが国では一般的に「小児期の慢性疾患を抱えながら“病気から発生した問題”を思春期や成人の年代に持ち越すこと」と定義されている1~3).
キャリーオーバーが問題となる疾患は,表1のようにあらゆる領域にわたるが,これらの疾患の治療の進歩,生存率の向上,疾病構造や社会環境の変化などにより,1980年代後半頃から,実際にキャリーオーバーした思春期や成人の患者の小児病院への入院が急増した.そこで,従来わが国では15歳以下と年齢で区分されていた小児科において,思春期や成人期まで小児医療を展開する必要が生じ,新たな医療体系として「成育医療」という概念が提唱されるようになった.成育医療とは「高度に専門分化した医療体系のなかにおいて,ヒトの一生の時間軸に沿って,成長・発達,成熟,生殖,老化といったそれぞれのライフステージと,次世代につながるライフサイクルとを見通した,個体と次世代のよりよいQOLを守る医療」とされる.専門分化した小児医療のなかから生まれた概念であるが,このような医療への考え方は家庭医療のそれときわめて近いといえる.
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