特集 病院総合医 免許皆伝
病院総合医の私が直面した問題とその解決策
病院総合医の存在意義を見失う時とその解決法
松浦 武志
1
1札幌医科大学地域医療総合医学講座
pp.667
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102269
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病院総合医は,現時点では,その果たす役割や求められる能力などについてはっきりとした定義がなく,定義がないため当然,その研修プログラムも認定制度も存在しない.必要とされていることはわかってはいるが,それに見合った求人も資格もない状態である.まず身分的に不安定な感が否めない.こうした制度上のことは,今後,学会などで明確な研修目標・認定制度を示すなどの対策が必要であろう.
また実務を行う病院内では,初診患者の振り分けや,各専門科に収まりきらない複数の問題を抱えた患者や,肺炎や尿路感染など研修医教育に適した症例を担当することが多いのであるが,そうした患者が専門的な治療が必要となった場合は,該当専門科に紹介することになる.いわゆるコンサルテーションである.当然,専門医のほうが知識も経験も豊富であるため,その疾患に関するコンサルテーションは受身になることが多くなる.ひるがえって,自分が他科からのコンサルテーションを受ける立場になりうるかを考えたとき,そのような機会はほとんどない.いつもコンサルテーションするばかりで,自分がコンサルテーションを受けることがない.自分の同期や後輩が専門科に所属し,その科のコンサルテーション当番などを立派に行っているのを見ると,この病院で自分は一体どのように必要とされているのかを見失ってしまいがちである.
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