特集 病院総合医 免許皆伝
病院総合医の私が直面した問題とその解決策
災害時に発生する問題とその解決策―三宅島火山災害の経験から
箕輪 良行
1
1聖マリアンナ医科大学救命救急センター
pp.662-665
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102267
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被災地における地域医療
災害医学では,災害事象を時間的に急性期,亜急性期,慢性期,復興期と分けて各期の医療ニーズを整理している.急性期に対応するには救急救助,救急救命医療,亜急性期には初期集中治療,感染症と心的外傷ストレス障害対応,慢性期には復旧,復興に必要なリハビリテーション,計画的な防災訓練と準備といった大枠を示している1).とくに発災直後の超急性期の致死的外傷を救うために,阪神大震災を契機にDMAT(disaster medical assistance team,災害派遣医療チーム)が全国に広く整備され,実際に今回の東日本大震災でも統括されて稼働した2,3).亜急性期以降に組織的に対処する全国規模のシステムは,自己完結型で起動する自衛隊の災害救助,日赤の医療救護活動を除けば,被災地の医療者が自律的に苦労してきたといえよう.
本稿では従来,災害医学を得意とする救急医療専門家の視点から記述されることが多かった災害医療に関して,被災地の現地で地域医療に従事した医師,といっても現在学会で目指している「病院総合医」や「家庭医」の議論以前の「何でも屋の総合医」という立場から簡単に意見を述べる.本号は病院総合医の特集であるが,地域の在宅患者も当該内の「収容患者」と認識しながら診療を行っている離島の特殊性を考慮して読んでいただければと願う.
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