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PCIとは?
PCI(percutaneous coronary intervention,経皮的冠動脈インターベンション)とは,冠動脈の狭窄,閉塞病変に対し,カテーテルを用いて経皮的に治療する手技に対して名付けられた用語であるが,このような手技はかつてPTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty,経皮経管的冠動脈形成術)とよばれていた.PTCAは冠動脈内腔をバルーン(風船)で拡張するという手技であり,1)血管を十分に拡張できない,2)拡張した血管が治療早期に閉塞する(急性冠閉塞),3)治療後しばらくして再び狭窄する(再狭窄,J1),という難点があった.このような問題点を解決する手段としてDCA(directional coronary atherectomy,方向性粥腫切除術),ステント(J2),ロータブレーターTM(PTCRA;percutaneous transluminal coronary rotational atherectomy,経皮経管的回転式粥腫切除術)など,new deviceとよばれる多くの器具が広く用いられるようになった.これらの,より広い経皮的手技に対してPCIという言葉が使われるようになり,従来のバルーン拡張術はPOBA(plain old balloon angioplasty)とよばれるようになった.
POBAと比べて十分な血管拡張が得られること,急性冠閉塞を予防することができること,その他のnew deviceと比べると手技が容易であること,などの理由からステントが多く用いられるようになった.ステント留置により,POBAを施行した症例の30~50%の症例にみられた再狭窄は減少した.しかし減少したといっても再狭窄率は20~30%であり,再狭窄の問題は長い間“PCIのアキレス腱”とされていた.
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