特集 診療ガイドライン盛り合わせ
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pp.440-441
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101933
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Q1 ACE阻害薬よりARBを使うべきでしょうか?
A1 いいえ.まずはACE阻害薬を使うべきである.ARBはACE阻害薬より後から発売された薬剤であり,高い認容性を売りにしている.しかし,過去に行われたあらゆる臨床試験において,ARBはACE阻害薬と同等ないしは,むしろACE阻害薬よりも劣るという結果に留まっている.しかも,ACE阻害薬の薬価はタナトリル®錠5mgで78.40円に対し,ARBのニューロタン®錠50mgが168.00円と倍以上の価格になっている.それにもかかわらずACE阻害薬よりARBが好まれる理由としては,ACE阻害薬使用時に起こる乾性咳嗽の副作用がARBには少ない(すなわち,認容性が高い)ことが挙げられている.しかし,そもそもACE阻害薬による乾性咳嗽は,添付文書上4.76%(タナトリル®錠のデータ)に過ぎず,女性にやや多いとされても経験的には1割程度と推測される.幸いなことに乾性咳嗽は可逆的な副作用であるので,まずはACE阻害薬を使用してみて,咳に耐えられないようなら,その時点でARBに変更するという処方のほうがよいのではないだろうか.(南郷栄秀→p408)
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