特集 診療ガイドライン盛り合わせ
【各論】
うつ病・うつ状態の診療スタンダードUp To Date
冨田 真幸
1
,
渡邊 衡一郎
1
1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
キーワード:
新規抗うつ薬
,
activation syndrome
,
非薬物療法
,
操作的診断法
,
bipolarity
Keyword:
新規抗うつ薬
,
activation syndrome
,
非薬物療法
,
操作的診断法
,
bipolarity
pp.432-438
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101932
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過去10年間のうつ病診療の変貌ぶりには目をみはるものがある.患者数が100万人を超え,10年前の倍以上の水準となるなど,社会問題としても取り上げられることが多くなっている.ストレス社会においてうつ病患者が増加したという側面ももちろん否定はできないが,新規抗うつ薬の普及と,それに伴ううつ病に対する社会的関心の高まりが,むしろ大きな役割を果たしていると言ってよいだろう.この結果として,より軽症例,あるいはうつ病と診断のつく閾値以下(subthreshold)である「うつ状態」のケースが多く医療機関を受診するようになり,休養と薬物療法主体の従来のうつ病治療ではうまく行かないことに多くの臨床医が気づきはじめた.この背景には後述するような「操作的診断法」と呼ばれる診断手法の臨床現場への浸透と,その誤用が大きく影響していることも見過ごせない.また,近年の双極性障害(いわゆる躁うつ病)概念の膨張もうつの診療に少なからぬ影響を与えている.本稿ではこれらの要素を中心に,最近のうつ病・うつ状態診療について解説する.
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