特集 診療ガイドライン盛り合わせ
【各論】
アトピー性皮膚炎の診療スタンダードUp To Date
山本 洋介
1,2
,
松村 由美
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科学分野
2京都大学大学院医学研究科医療疫学分野
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
診療ガイドライン
,
外用療法
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
診療ガイドライン
,
外用療法
pp.426-431
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101931
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アトピー性皮膚炎は,皮膚の乾燥とバリア機能異常とともに,アレルギー反応が関与することによって生じる疾患である.患者は,各種アレルギー性疾患を合併することが多いため,アレルギーの側面が強調されがちであるが,皮膚の生理学的な異常が本疾患の根幹であるといっても過言ではない.事実,近年,欧米では多くのアトピー性皮膚炎患者において,角層形成に重要な役割を担い,また,その代謝産物が天然保湿因子の主成分であるフィラグリンの遺伝子に変異があることが明らかになり,スキンケアの重要性が分子レベルで示された.すなわち,外用療法によるスキンケアがアトピー性皮膚炎治療の基本である.
本邦では,2000年に日本皮膚科学会による「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」が策定された.その後,2008年には診断基準・重症度分類・治療ガイドラインを包含した「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」へと発展し,2009年に改訂され現在に至っている.また別に,厚生労働省免疫アレルギー疾病予防・治療研究推進事業による「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008」も存在するが,両者の間で差異はあるものの大きく矛盾する記述はない.本稿では,日本皮膚科学会において2008年・2009年に策定された版に関して,診断面・治療面を中心にその概要を述べることとする.
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