特集 今日の代替医療 漢方と鍼灸を中心に
【研究】
漢方薬のエビデンス
小暮 敏明
1
1群馬大学大学院医学系研究科統合和漢診療学
キーワード:
漢方薬
,
エビデンス
,
個の医療
,
治療の保証
,
臨床効果
Keyword:
漢方薬
,
エビデンス
,
個の医療
,
治療の保証
,
臨床効果
pp.720-723
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101774
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
今日,多くの医師が日常診療に漢方薬を取り入れており,いわゆるプライマリ・ケアから難治性疾患まで幅広く臨床応用されている.この背景には,2001年3月,医学教育モデルコアカリキュラムに「和漢薬を概説できる」が導入され,2007年度から全国80医学部でなんらかの漢方医学教育がなされるようになったこと,さらにその内容についての標準化のプロジェクトが進められている現状がある.しかしながら,現在の日常診療のなかでの漢方診療は,担当する医師によって大きく3つの診療形態に分類できると思われる(表1).1つは,伝統医学的な方法論に則って漢方方剤を運用する,2つ目は,西洋医学的な疾患/病態ならびに初歩的な漢方医学的な概念に従って漢方薬を投与する,3つ目は,いわゆるエビデンスに従って漢方薬を投与する,である.2,3の形態は漢方専門医以外での診療でみられる形態で,投与された漢方薬で効果が得られない場合には専門医へ紹介することになると推測される.
このように,病態を把握するシステムによって診療形態に差異が生じることは西洋医学ではみられない.本稿では,「漢方薬のエビデンス」について概説するが,上述したような3つの診療形態が現状では存在することを念頭に置きながら,エビデンスの現状・特異性・活用の仕方について議論してみたいと思う.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.