Editorial
診療所診療のIT化
伴 信太郎
1
1名古屋大学医学部附属病院総合診療部
pp.331
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101678
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筆者が1980年代後半に米国の知人を訪ねた時に,e-mailの便利さを盛んに強調されたが,どのような通信手段なのかよくわからなかったことを思い出す.その後のIT(information technology)の普及は急速で,日常生活に深く浸透し,人々の価値観や行動に大きな変化を引き起こすようになってきた.その極端な例として,対人コミュニケーションの苦手な人が,ますます人から離れ引きこもるようになったり,対面では憚られるような罵詈雑言がネット上で交換されて,それが殺人にまで発展したりすることが起こるようになってきた.また,ITは時間的・空間的な距離を驚くほど縮小し,今や20年前なら月単位で進行していたこと(たとえば,外国の知人とのやり取り)が,日あるいは時間の単位で進行する世の中となった.確かに交通手段の発展とともに“It's a small world!”と実感する.
このような世の中をどのように評価し,どのような行動様式をとるかについては,さまざまな価値観があってよいと思う.しかし,現代において医療を行っているわれわれが避けては通れない部分は,やはりあるだろう.たとえばEBM(evidence-based medicine)は,ITがあってこそ実践可能になったものであるが,今や避けては通れない.
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