連載 ドラスティックな病院改革!~事務長の孤軍奮闘日誌~・3
IT化へのミッション・インポッシブル【後編】
妹尾 朝子
1
1社会医療法人 光生病院 事務部
pp.484-486
発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102290
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■電子カルテ導入までに学んだこと
一般的に,IT化の進んでいない病院が,電子カルテを導入するまでの道のりは厳しい.「光生病院に電子カルテを稼働させる」というミッションをクリアするために,私たち経営企画室は院内のIT化を促進しつつ,過去の電子カルテ導入の失敗点を復習し,慎重に進んだ.最短時間で目的を達成できればそれなりに褒められるのであろうが,なにぶん経験と能力が不足しているので,なかなか一足飛びにはいかない.今にして思えば,アブナゲな橋(後述)を何度も渡りかけたが,運よく大きな損失を出すことなく,結果的には予測以上の場所にたどり着けたようだ.
電子カルテ導入に行き着くまでに,ミッションが出てから2年間迷走を続けた.その間,成功例や失敗談など生の声を拝聴するために多くの病院を訪問し,また研修会などに参加して,勉強させていただいた.そして,私たちの知識が増すほどに,当院のような地方の民間中小病院に電子カルテを導入することが,いかに難しいかがよくわかった.何と言っても,大病院と違って予算が少ない.できるだけ「安価なもの」にしようとすると,そこに相当のリスクを伴う.そのうえ,当院の場合は診療科目と非常勤の医師が多いうえ,特養や在宅への往診に遠隔診療対応も必要となる.さらに多くの部門やモダリティなど,すべてのシステムとスムーズに連携できなければならない.しかも,肝心の常勤医師は高齢化している.
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