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症例:60歳女性, ADLは自立.
主訴:呼吸苦.
【現病歴】前日に内科定期外来を受診し,とくに変わりはなかった.しかし翌日に悪寒と呼吸苦が出現したため,救急車にて救急外来を受診した.患者の居住地ではインフルエンザが流行していたが,本人はワクチンを希望せず,接種していなかった.胸痛はなし.
【既往歴】糖尿病(HbA1c 7.0)と慢性心房細動(心エコーでは駆出率0.4)で内科通院. 白内障術後で眼科通院. アレルギーなし.内服薬;経口血糖降下薬(SU薬)とワーファリン®.
【生活歴】現在禁煙しているが1年前まで喫煙1箱/日.機会飲酒.
【身体所見】身長155cm,体重78kg.バイタルサイン;血圧150/100mmHg,脈拍140/分(不整),呼吸数28/分,体温37.2℃,SpO2 91%(室内気).全身状態;起座呼吸にて不良.頭頸部;貧血・黄疸なし,内頸静脈怒張あり.胸部;喘鳴(wheeze)を呼気に聴取, 湿性ラ音(crackle)なし.心音;不整,心雑音なし.腹部;平坦軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛なし.四肢;下腿浮腫軽度あり.
【検査所見】血液検査;WBC 11,000/μl,Hb 11.7g/dl,Hct 37.4%,Plt 174×104/μl,Na 141mEq/l,K 4.0mEq/l,Cl 103mEq/l,BUN 12mg/dl,Cr 0.6mg/dl,Glu 174mg/dl,AST 31IU/l,ALT 32IU/l, CRP 0.5mg/dl,トロポニンT陰性.
胸部X線;心拡大と肺うっ血あり(図1).心電図;心房細動あり.ST変化なし.
【来院後経過】急性心不全と考え,血管拡張薬と利尿薬静注を開始し入院させた.病棟に上がり体温を測定すると39.2℃に上昇し,黄色痰を喀出したため,喀痰塗抹と鼻腔インフルエンザ抗原を調べた.
喀痰グラム染色;多核白血球(PMN)2+,菌なし(図2).
喀痰抗酸菌染色;抗酸菌陰性.
鼻腔インフルエンザ抗原検査;A,Bとも陰性.
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