シネマ解題 映画は楽しい考える糧[16]
「シャイン」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野
pp.873
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101537
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パターナリズムと自律の支援
本作品は世界的なオーストラリア出身ピアニスト,デイヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた傑作です.主演のジェフリー・ラッシュが第69回アカデミー賞主演男優賞を取ったことでも大きな話題になりました.彼は最近,ゴア・ヴァービンスキー監督「パイレーツ・オブ・カリビアン」3部作のバルボッサ船長として大活躍していますね.ほかの作品でもマルキ・ド・サドやピーター・セラーズを演じています.
「シャイン」はクラシック音楽ファン,とりわけラフマニノフ愛好家には堪えられない映画でしょう.私のようにラフマニノフのピアノ協奏曲3番が大好きな人間にとっては至福の時を与えてくれます.同時にこの映画は生命・医療倫理的な観点からいっても,観るもの――とくに医療従事者――に多くのことを語ってくれます.私が今思いつくキーワードは「パターナリズムと支援の必要性」でしょうか.他にも多くのテーマがありますが,今回はこの2つについて簡単に述べてみたいと思います.
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