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Case
患者:75歳,女性.
主訴:呼吸困難.
現病歴:来院の1週間前から,咽頭痛と声のかすれが徐々に出現し,来院3日前からは声のかすれが悪化し,唾液を飲み込むことがしづらく,咳払いを繰り返した.また,その頃から家族からの情報では,患者自身の声がか細く,聞こえにくくなった.さらに短い階段を上るにも息切れを生じてきた.受診前日には上記症状に加え,呼吸困難感はさらに増悪し,安静時にも冷汗が出現したため,当院の救急室へ家族により搬送された.発熱は不明,起座呼吸や下肢の浮腫などはみられなかった.
既往歴:①2型糖尿病(70歳~),②狭心症にてPCI施行(74歳),③脳梗塞(72歳).
内服薬:アスピリン(200mg)分2,塩酸チクロピジン(200mg)分2,バルサルタン(160mg)分2,アムロジピン(5mg)分1,ビオグリタゾン(15mg)分1,ファモチジン(20mg)分1.
生活歴:喫煙・飲酒なし.
来院時身体所見:全身状態は冷汗著明,声が小さく発語も少ない.意識レベルは混迷様でGCS 13(E3V4M6).血圧185/85mmHg,心拍数108/分,呼吸数40/分,体温35.5℃(腋窩温),SpO2 83%(室内気).結膜貧血軽度あり,呼吸音は小さく・副雑音は聴取できず,副呼吸筋の緊張強い,心音は整・明らかな雑音なし,腹部平坦軟・蠕動音やや低下,四肢は末梢冷感強い.
来院時検査所見:血算;WBC 7,900/μl,RBC 304×104/μl,Hb 9.2g/dl,Hct 27.7%,MCV 91fl.生化学;Na 129mEq/l,K 3.4mEq/l,Cl 90mEq/l,BUN 20mg/dl,Cre 0.4mg/dl,AST 21IU/l,ALT 14IU/l,T-Bil 0.3mg/dl,CPK 185IU/l,Glc 258mg/dl.動脈血液ガス検査(室内気,呼吸回数40回/分);pH 7.30,PaO2 71.2Torr,PaCO2 62.9Torr,HCO3- 30.1mEq/l.
心電図:図1.
胸部X線:図2.
頭部CT:左被殻から放線冠にかけて陳旧性脳梗塞あり.
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