JIM Report
思春期事始め―日本家族計画協会主催「思春期保健セミナー」参加報告
稲田 美紀
1
1三重大学医学部附属病院総合診療部
pp.864-866
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101535
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思春期事始め
ことの発端は2006年末,本誌より「家庭医のためのウイメンズ・ヘルス読本」特集の1章である,「思春期」をテーマにいただいたことに遡る(『JIM』17(4) : 290-294, 2007.).産婦人科医でもない,家庭医としても発展途上である私が,とくに専門でもない「思春期」を書くことに対し,いささかの抵抗と迷いはあったものの,比較的気楽に引き受けてしまったその心は「思春期の性教育ね,コンドームとピルの話をしておけば大丈夫でしょ」という,軽い気持ちがあったからである.しかし振り返れば,この考えこそが大間違いであった.大間違いであると同時に,この時の自分自身の気軽な気持ちと,真の性教育とのギャップ,そのギャップが私に与えた衝撃がとてつもなく大きかったことが,現在の私の原動力にもなっていると思う.
執筆のため調べていくにつれ,現代の思春期の子どもたちを取り巻く現実を目の当たりにし,「これはまずいぞ,なんとかしなくては」という気持ちが募っていった.そしてそのためにはコンドームとピルだけではない,「もっと別の何か」が必要だと強く思ったものの,その「別の何か」が何なのかわからない.結局不十分な気持ちのまま脱稿した.そんな時,日本家族計画協会1)が主催している「思春期保健セミナー」の存在を知り,とにかく何か得られれば,と受講を決めた.
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