特集 不整脈診療ステップアップ
抗不整脈薬の使い方アップデイト
大塚 崇之
1
,
山下 武志
1
1財団法人心臓血管研究所付属病院循環器科
キーワード:
催不整脈作用
,
陰性変力作用
,
QT延長
Keyword:
催不整脈作用
,
陰性変力作用
,
QT延長
pp.744-748
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101503
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過去には,抗不整脈薬の投与は突然死を予防し生命予後を改善しうるとの仮説のもと,Ⅰ群薬を中心とした抗不整脈薬の投与が行われてきた.しかしながら心筋梗塞後の心室期外収縮に対するⅠ群薬の予後改善効果を検討したCAST1)の結果は,全死亡および不整脈死を増加させるという従来の仮説に反するものであった.また2002年にはAFFIRM試験2)(J1)やRACE試験3)(J2)といった大規模臨床試験により,心房細動に対する抗不整脈薬を用いた洞調律維持治療が必ずしも予後を改善しないことが示された.これらの結果は抗不整脈薬の安易かつ漫然とした投与に対する警笛であり,不適切または不必要な抗不整脈薬の投与は極力避けるべきであると考えられる.投与開始にあたり必ず基礎心疾患の有無や腎・肝機能などの患者のバックグラウンドを把握し,投与開始後も副作用の発現に注意する.投与の際には,抗不整脈薬には徐脈やQT延長に伴うtorsades de pointesなどの催不整脈作用や心筋収縮に対する影響,さらには重篤な心外副作用などを起こすことがあり,決して100%の安全性があるわけではないことを常に心に留めておく必要がある.
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