Editorial
Quality Indicators算出・公開の効用
福井 次矢
1
1聖路加国際病院
pp.717
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101496
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2年半ほど前もこの欄で紹介させていただいたQuality Indicator(QI:質指標)の「その後」を記したい.聖路加国際病院の2004年以降の電子カルテのデータを用いて,たとえば,慢性腎臓病患者のうちACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬あるいはARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)を処方されている患者の割合,市中肺炎と診断された患者のうち来院後4時間以内に抗菌薬を投与されていた患者の割合など,約100項目にわたるQIを算出・公開してきた.その最大の目的は,エビデンスに基づいた医療(Evidence-based Medicine : EBM)実践の度合いを可視化することである.
10年近く前から,わが国でも,EBMの手順による診療ガイドラインが多数作成されるようになり,診療の質の向上に多大な貢献をしていることは疑いのないところである.しかしながら,実際にエビデンスに基づいた医療が行われているかどうかを調べると,そうでないことが多く,欧米ではずいぶん前から問題となってきた.たとえば,心筋梗塞患者の50%にしか退院時にアスピリンを処方していない,といった状況であり,Evidence-practice Gap(根拠と実践の乖離)と呼んでいる.
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