巻頭言
ゆとりの効用
東 健彦
1
1信州大学
pp.109
発行日 1972年6月15日
Published Date 1972/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902923
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古代ヘブライでは,7年ごとの休耕を法律で定めていた。この年に実つたものは,果実であれ野菜であれ,まずしい人々が自由にしてよいとされていた。この休耕年度には戦争行為は厳禁で,それまでの借金の棒引きもおこなわれたという。
以上はSubbatical Yearの本来の意味である。今日では,周知のように,Subbatical Year(またはSubbatical Leave)とは,欧米の大学でほぼ7年ごとにfaculty memberに与えられる半年ないし一年の有給休暇を指す。この期間中は教官としての一切の義務から解放され,普段と同じ生活保障のもとで行動の自由には何の束縛も加えられないから,自らの好む場所で,自らの好む方式にしたがつて純粋かつ自由に研究に専念できる。多くの人々は国外または国内の他の研究機関での協同研究に従事する。
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