特集 妊婦が外来に来たら
【症状・疾患への対応】
妊婦の便秘
大柴 葉子
1
1山王病院産婦人科
キーワード:
排便習慣
,
弛緩性便秘
,
プロゲステロン
,
下剤
,
流早産
Keyword:
排便習慣
,
弛緩性便秘
,
プロゲステロン
,
下剤
,
流早産
pp.222-223
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101369
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消化器症状のなかで,便秘は腹痛,下痢に次いで多い.妊娠においてはホルモン変化,とくにプロゲステロンにより平滑筋弛緩作用が起きて腸管蠕動が低下し,腸内容物の移動時間が延長する1).また,子宮増大圧迫による影響によっても便秘となりやすい.
健康成人では毎日1回の排便で200g前後の重量の有形便があれば普通とされる.しかし排便については個人差や生理的許容範囲は広いとされる.一般的には便秘とは,排便回数と排便量が減少し,排便に伴う不快症状(腹痛,排便困難,残便感など)があって生活に支障をきたす場合とされる2).
妊娠における便秘においてはもちろん,器質的な疾患による便秘を除外することは必要である.一般的にもっとも多くみられるのは機能性便秘であり,その中でも大腸の緊張が低下し蠕動運動が減弱して腸内容の通過が遅くなる弛緩性便秘が多い(図1).便塊から水分吸収が増え糞便が硬くなり,骨盤内へのうっ血と子宮による直腸圧迫とあいまって痔疾患を伴うと直腸性便秘の状態ともなり,排便時の痛みのため排便を我慢するという悪循環が起こりやすい.
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