特集 家庭医のためのメンズ・ヘルス読本
【メンズ・ヘルスのトピックス】
高齢男性の前立腺肥大症最先端
斉藤 恵介
1
,
堀江 重郎
1
1帝京大学医学部泌尿器科
pp.152-155
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101350
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昭和30(1955)年代ごろまでは,日本人男性のほとんどが前立腺は萎縮の経過をたどっていた.ところが,食生活の向上・欧米化により,現在では80歳までに日本人男性の80%が前立腺肥大症(BPH:benign prostatic hypertrophy)になるといわれている.前立腺肥大症は,高齢男性に最もよくみられる排尿障害の原因となる前立腺の良性腫瘍で,前立腺癌と明らかに異なる良性疾患である.その有病率は高く,加齢とともに増加する.前立腺肥大症は組織学的に60歳の男性では50%以上に,85歳までに約90%に認められ,その1/4に臨床症状が出現する1).前立腺肥大症は疾患の進行に伴い,①前立腺の解剖学的増大,②排尿障害を主とした臨床症状,③尿流動態からみた下部尿路通過障害(閉塞)が出現するが,さらに通過障害に起因する膀胱排尿筋機能の変化などが出現し,これらが相互に関連して症候性前立腺肥大症が疾患として成立する2, 3).患者の中には,解剖学的増大と尿路通過障害所見を認めるが臨床症状を伴わない患者から,上記のすべての病態をもつ患者まで多様である.
泌尿器科では,前立腺肥大症で受診した患者の排尿状態の評価として,排尿障害アンケート(国際前立腺症状スコア),尿流量測定,残尿測定,超音波検査,膀胱機能検査,直腸診,画像検査(MRI,DIPなど),内視鏡検査など種々の検査にて多角的に排尿機能を評価する.それらの結果を前立腺肥大症ガイドラインを参照し,個々の状態とニーズにあった治療方法を選択していく(図1).
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