私的小児科外来診療学入門[5]
急性発熱の診かた(2)
加藤 英治
1
1福井県済生会病院小児科
pp.976-980
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101287
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細菌感染症かウイルス感染症かを迅速に鑑別診断し,原因病原体の診断にできるだけ努めることが,発熱児の早期診断と治療および抗菌薬の適正使用の基礎になります.前回のまとめにもなりますが,白血球数とCRP値によりウイルス性か細菌性かを判断することを基本にした発熱児に対する私のアプローチを図1に示しました.
今回は初診時にどこまで診断に迫ることができるかを考えます.
発熱は救急疾患か?
発熱自体は生理的反応なので,通常は急を要するものでありません.しかし,髄膜炎,脳炎,敗血症のように死亡や重度の後遺症を残す危険性の高い疾患による発熱は,早期診断・早期治療が大切です.発熱の緊急性はこのように原因となる疾患に左右されます.プライマリ・ケアで念頭におくべき生命に関わる急性発熱性感染症を表1に挙げました.
前回,ウイルス感染症か細菌感染症かの鑑別を強調したのは抗菌薬投与を判断する根拠になるからです.ウイルス感染症であれば重症ではないという意味ではありません.脳炎の原因は通常ウイルスです.クループはウイルス性ですが,重症の場合に死亡することもあり,小児科で訴訟になりやすい疾患の一つです.
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