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書評「発熱―診かたとその対策」
小酒井 望
1
1順天堂大学・臨床病理学
pp.1084
発行日 1973年8月25日
Published Date 1973/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108612
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発熱と感染症は切り離せない密接な関係がある.もちろん感染に関係のない発熱もあるけれども,原因不明で一見感染に無関係のような発熱でも,よく調べてみると感染であることもある.したがって発熱の問題は感染症学に関心を持つ人はもちろん,一般臨床医にとっても重要であることはいうまでもない.また感染症を細菌学の立場から研究する臨床細菌学者にとっても,発熱は重要な研究課題である.
畏友吉植庄平博士は最初細菌学を学ばれ,次いで内科学,とくに感染症学を研鑽され,そのすぐれた細菌学的手技を駆使して発熱の問題に取り組まれた.さらに内分泌学にも足を踏み入れられたが,その知識が発熱の研究をさらに進展させるのに寄与したと老えられる.発熱の研究は吉植博士のライフワークであるが,本書はその集積と考えてよいであろう.本書の完成には数年を費し,脱稿後も新知見の挿入のため,書き換え,書き足しをくり返えされたと聞く.それだけに重厚で充実した書物で,発熱に関するすべての新知見がこの中に満ちているといってよい.
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