今月の臨床 母体症候―救急疾患の鑑別と初期対応
分娩時・産褥期の救急症候
2.発熱
松岡 隆
1
,
市塚 清健
1
,
大槻 克文
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科学教室
pp.288-291
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101055
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はじめに
かつては産褥熱による重症敗血症の頻度が高く,妊産婦死亡の大きな原因のひとつであった.近代産科学においては,衛生環境の改善,抗生物質の開発により産褥熱の発生はコントロール可能なものになってきた.しかしながら抗生剤の安易な使用や周産期学の発達に伴い,high riskな帝王切開が施行されることも多くなり,産褥期に治療に難渋する感染症に出くわすことも決して稀なことではない.特に重篤な産褥敗血症は全身性炎症性症候群(systemic inflammatory response syndrome : SIRS)と考えられ,診断・治療が遅れると母体死亡につながる危険性がある.
ここでは産褥期感染症,特にSIRSを引き起こすMRSA感染症,および最近重症例の報告が増加しているA群レンサ球菌感染症を中心に述べたい.
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