私的小児科外来診療学入門[3]
[総論 その3]診察室での心得
加藤 英治
1
1福井県済生会病院小児科
pp.788-791
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101253
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十分に病歴を取り,綿密な診察をしただけでは診療は終わりません.この後の展開で患児や家族から信頼されるか,二度とあなたの診察を受けたくないと言われるかが決まります.医師としての力量がいくら高くても患者が来なければ実力を発揮できません.千客万来までいかなくても,受診患者を増やせる医師になりましょう.
診察では想像力を逞しくしよう
夏季に,1歳の女児が口を半ば開けて涎を垂らして診察室に入ってきました(図1).この表情からどのような症状,疾患を考えますか?
口を開いて,流涎(よだれ)がみられる小児では口内痛のために唾液を嚥下できない状態を考えます.「食べたそうにしますが,口の中に食べ物を入れると痛いのか出してしまって食べません.それに口も臭います」と母親が訴えるはずです.小児の日常診療で,ひどい口内痛を訴えて受診する場合は,ヘルパンギーナかヘルペス性歯肉口内炎を考えますが,この症例は手足口病で舌および軟口蓋に小潰瘍が多発していました.
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