技術講座 細菌
細菌検査室の実習心得
小栗 豊子
1
1順大病院中検
pp.64-65
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200125
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細菌の生存している所というと腐敗したごみの中とか,これらが流れ込んでいる下水,動物の排泄物などを想像しがちである.しかし細菌はけっしてこういったきたない所だけではなくもっと私たちと身近な所にも生存している.清浄な空気中にも,机上にも,また私たちの皮膚,口腔,鼻咽喉,咽頭,腸管内にも,細菌の種類,菌数に若干の差こそあるが常に生存しており,正常細菌叢を形成している,細菌検査に伴うひとつひとつの操作は空中,その他物体の表面,私たちの手,口中の常在細菌の混入をいかに防いで行なうかがたいせつなことであり,このための操作が無菌操作である.これは他の検査と異なり,細菌検査の特色であり,検査技術のたいせつな基本となっている.技師学校における微生物実習のおおよそはこの無菌操作の会得に費やされている.この無菌操作を守るためには技術の修練のほかに検査室の一定の設備が必要でありこれは技術では補えない.また危険な微生物を扱うのであるから自己への感染防止にも十分注意を払わなければならない.細菌検査の術式は無菌操作,危害予防などを十分考慮したうえで定められた手技であるから,実習に際しては自己流に走ることなく正しい手技に慣れることに努力をしていただきたい.今回は実習を始めるにあたり知っておくべきこととして,細菌検査室の設備,室内での作法,危害予防,実験室内感染の予防を取り上げた.
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