特集 子どものミカタ!
子育て期の家族へのアプローチ
阪本 直人
1
,
岡田 唯男
1
1医療法人鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山家庭医診療科
キーワード:
家族
,
食生活
,
子育て分担
,
禁煙
,
ストレスコーピング
,
妊娠糖尿病
Keyword:
家族
,
食生活
,
子育て分担
,
禁煙
,
ストレスコーピング
,
妊娠糖尿病
pp.778-781
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101250
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WHOは,家族を「健康と幸福を増進する最も身近な社会単位」と位置付けている.健康な生活習慣は通常,家族の中で発達し,維持され,そして変えられていくものである.
家族のメンバーは,似たような食事・運動習慣,タバコやアルコールなどの嗜好品,そしてストレスコーピングパターンなどを共有することが多い.そのため,危険因子を家族内で共有しやすく,それをリスクファクターとした疾病も多発しやすい.
たとえば,10代の若者で,喫煙する親や年上の兄弟が家族内にいる場合(これを家族内喫煙者という),喫煙しない家族の5倍高い確率で喫煙するというデータがある1).また,子どもは家族内のストレスの影響を受けることがわかっており,1,000人を超える就学前の小児を対象した前向き研究では,家族内の出来事がその後のさまざまな病気に関する受診や入院に影響することが証明されている1).
幸か不幸か,家族はしばしば重要なストレッサーになることもあれば,サポーターとなることもある.時として,子どもは家族内のストレスや家族機能の異常を直接もしくは間接的に表現する代弁者(J1)となって受診してくるかもしれない.
このように,ほとんどの健康や病気に関する問題に,家族間の相互影響が証明されている.そのため,健康増進や危険因子削減における家族へのアプローチが,より効果的で,費用対効果に優れた質の高いヘルスケアを提供するための身近な資源となりうるといえるのである.
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