Japanese
English
特集 精神疾患回復の時間経過を見通す
うつ病の回復過程
Recovery process of depression
中川 伸
1
Shin Nakagawa
1
1山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座
1Division of Neuropsychiatry, Department of Neuroscience, Yamaguchi University Graduate School of Medicine, Yamaguchi, Japan
キーワード:
うつ病
,
depression
,
ストレスコーピング
,
stress coping
,
レジリエンス
,
resilience
Keyword:
うつ病
,
depression
,
ストレスコーピング
,
stress coping
,
レジリエンス
,
resilience
pp.1467-1472
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207116
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抄録
うつ病は中等度のストレスが持続した後に発症する場合が多い。個人のストレスコーピングとレジリエンスにより,発症する閾値は異なり,回復過程も異なってくる。一般的には当事者の40%で発症後3か月以内に抑うつエピソードからの回復が始まり,80%の人が1年以内に回復し始める。重症度,抑うつエピソードの長さ,精神症性の特徴や不安性の苦痛を伴うなどは回復時間に大きな影響を与える。治療介入後の経過時間はさまざまであるが,目安は報告されてきている。診断基準には含まれない認知機能障害は,「寛解」の状態においても残存する可能性はあり,生活の支障と見なされる。多くの治療手段が開発,発展はしてきているが,慢性化や不完全回復の状態が長期間に及ぶ人は一定数認められる。
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