特集 子どものミカタ!
子どもの外来診療ピットフォール―紹介を受ける立場から
佐々木 秀樹
1
1川崎協同病院小児科
キーワード:
全身状態の把握
,
診断と鑑別診断
,
初期治療の選択
,
評価時期と方法
Keyword:
全身状態の把握
,
診断と鑑別診断
,
初期治療の選択
,
評価時期と方法
pp.768-773
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101221
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日常のプライマリ・ケアの場で小児を診る時に大切なのは,①全身状態の把握,②的確な診断と鑑別診断,③治療法の選択,④適切な説明と指導,の4点であろう.ここでは日常われわれが外来で多く遭遇する疾患のうち,下痢・嘔吐と,発熱・リンパ節腫脹を主訴として来院して入院となった症例を提示し,上記の点から重要と思われる事項を抽出してみた.
【症例1】 10カ月の男児
4月16日噴水状の嘔吐1回.4月19日水様性下痢が出現(1日5~6回).4月23日下痢が持続し38~39℃の発熱をきたす.近医で抗菌薬投与を受けるも改善せず,飲水量も低下してきたため翌日に近医から紹介入院となった.
《入院時理学所見》体温 38.8℃,全身状態やや不良,咽頭軽度発赤,口唇・皮膚乾燥,皮膚緊張度低下,腹部平坦,腸蠕動音亢進.
《検査所見》WBC 14,800/μl(Neut 78%),RBC 412×104/μl,Hb 11.2g/dl,Ht 31.6%,PLT 40.5×104/μl,AST 37IU/l,ALT 16IU/l,LDH 711IU/l,CRP 8.5mg/dl,BUN 8.3mg/dl,Cr 0.2mg/dl,Na 131mEq/l,K 4.8mEq/l,Cl 100mEq/l.
《入院後経過》
研修医「急性腸炎と軽度の脱水症.血液検査から細菌性腸炎と考えます」
指導医「便のロタウイルスと耳を調べてごらん」
結果は,ウイルス性腸炎に急性中耳炎を合併しており,鼓膜切開と抗菌薬投与で速やかに解熱した.
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