特集 片頭痛だけが頭痛じゃない
【ミニレクチャー】
漢方薬と鍼灸による片頭痛の治療
石田 和之
1
,
佐藤 弘
1
1東京女子医科大学附属東洋医学研究所
pp.506-507
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101145
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頭痛治療の歴史は古く,約1,800年前に書かれたとされる古代中国の医学書「神農本草経」に,すでに頭痛治療の生薬が解説されていた.江戸時代の医家有持桂里は著書「校正方輿輗」のなかで,死に至る劇症の頭痛を除外すれば,片頭痛など種々の頭痛の病名に拘泥することなく,東洋医学的に多岐にわたる原因を明らかにして治療すべきとしている1).このように,古典的には片頭痛や緊張型頭痛を区別せず,舌診・腹診所見などを参考に治療していた.今日においても頭痛の東洋医学的アプローチは有持桂里の考え方と大きな隔たりはないが,画像診断などにより二次性頭痛の除外を行うことは論をまたない.
トリプタン系治療薬や片頭痛予防薬の登場により,片頭痛治療は大きな転機を迎えた.しかし,治療に抵抗する難治例や薬物乱用頭痛の出現など問題点も少なくない.このような場合に漢方治療は有力な選択肢となる.
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