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Case
患者:13歳,男児.
主訴:チック.
現病歴:5歳頃から瞬きが始まり,やがて飛び上がる,ウッウッと声を出すようになった.11歳(小5)より唇をなめる,舌を突き出すなどのチック症状も加わり,3カ月くらいの周期で増悪,やや軽快を繰り返す.チックは学校や他人がいる時のほうが軽く,家族だけのほうが多くみられる.12歳(小6の3学期)の時に中学でのいじめを心配して当院を受診.初診時には上記症状に加えて,両眼とも内転させて内斜視様になる,鼻や?,口をひくひくゆがませる,鼻を膨らませる,咳払いなどが絶えずみられた.さらに手足がいつも動いていてじっとしていない,そわそわして上の空の様子で多動傾向もあり.
家族歴:父母,弟(小3)の4人家族.
心理社会的病歴:生来過敏で泣いてばかりだったため,母親は子育てが不安であった.激しい人見知りがあり,臆病で恐がってよく泣いた.学校の成績はあまりよくない.人の話に割り込み,しゃべりすぎる.母親は弟には普通に接することができるのに,患児とは合わない気がしてやりにくさ,つらさを感じている.父親はあまり口うるさくなく,患児を受容しているようである.
経過:トゥレット障害と診断し,患児・両親に説明.症状を軽減する目的でセレネース(R)を使用した.0.25から0.5 mgに暫増してチック症状や落ち着きのなさが軽減し,維持投与中.完全に抑えることなく,このまま思春期を過ぎる頃まで続ける予定.投薬開始1カ月後に大学病院を紹介して,注意欠陥/多動性障害の合併がないことを確認した.最初の数カ月は父親が来院,その後母親が来るようになり,次第に母親は明るく,よく話すようになり,患児をそのまま受け入れられるようにもなった.中学では陸上部に入り,チックはあるが目立たない.中2になって少し反抗的になり,口をきかないことも多い.勉強はやる気を出している.
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