特集 Generalist必携 睡眠障害へのアプローチ
睡眠障害の治療の基本
粥川 裕平
1
1名古屋工業大学大学院・保健管理センター
キーワード:
慢性持続性障害
,
QOL
,
コンプライアンス
,
睡眠管理
Keyword:
慢性持続性障害
,
QOL
,
コンプライアンス
,
睡眠管理
pp.200-204
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101114
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睡眠には個人差,年齢差,性差,そして季節変動がある.睡眠障害(J1)は84もの種類があるが,図1に示す現象的分類を行うことが,治療の大前提となる.なかでも不眠は精神科臨床ではもちろん,一般臨床でも最も多い訴えの1つである.今日の不眠症臨床では,不眠のタイプにとどまらず,健康な時の睡眠パターンと睡眠病歴,睡眠環境,前駆する心理的ストレスやライフイベント,昼間覚醒時のパフォーマンス,合併する身体疾患と常用薬物,飲酒習慣,肥満度,睡眠姿勢,不安関連症状,抑うつ関連症状など,多項目に及ぶ問診が不眠症の適切な診断や治療には欠かせない.
一方,不眠に比べて頻度は少ないが,過眠の訴えも睡眠障害の臨床上重要である.過眠は不眠のように,入眠困難,睡眠の維持の困難(中途覚醒,再入眠困難,早朝覚醒),熟眠障害などの次の問診に進みにくく,プライマリ・ケア医の行く手を阻むことが多い.過眠治療のポイントは,その訴えの背景を押さえることである.過眠の原因には,①単純に夜間の睡眠不足によるもの,②むずむず脚症候群,周期性四肢運動障害など睡眠の分断化により睡眠過程が妨害されることに起因するもの,③睡眠時無呼吸症候群のように頻回の無呼吸に対する覚醒反応による睡眠の断片化と無呼吸に伴う低酸素血症に起因するもの,④ナルコレプシーのように昼間の覚醒を維持する機構の障害によるもの,と4つに分けられる.
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