Japanese
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特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
3 新しい検査法と診断法
毛髪を用いた薬剤服用モニタリング
Therapeutic drug monitoring by hair analysis
植松 俊彦
1
,
松野 浩之
1
Toshihiko UEMATSU
1
,
Hiroyuki MATSUNO
1
1岐阜大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Gifu University School of Medicine
キーワード:
毛髪分析
,
服薬歴
,
コンプライアンス
,
キノロン系抗菌薬
,
タイムマーカー
Keyword:
毛髪分析
,
服薬歴
,
コンプライアンス
,
キノロン系抗菌薬
,
タイムマーカー
pp.104-108
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412901850
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成長期の毛髪は伸びる際に血流中に存在する薬物をその濃度に比例して取り込み,それを保持しながら約1cm/月の速さで伸びていく.よって毛髪は1cm/月の“テープスピード”で服薬歴を記録し続けてくれる“テープレコーダー”として利用できる.薬物によっては毛髪1本,多くても数本を毛根側から1cmずつに細断し,その中の薬物濃度を測定して,毛髪成長方向の薬物濃度分布として表すと,ほぼ1月単位の投与量の歴史を過去数カ月に亘って知ることができる.ただし,毛髪の成長速度は個人間で,また,個人内でも毛髪1本毎に異なっており,さらに成長期・休止期といった毛髪サイクルもあり,毛髪の中に何らかのタイムマーカーが必要である.キノロン系抗菌薬は常用量を1日服薬しただけで常法のHPLC法により毛髪1本の,2mmの細断片から検出できることが判明した.これをマーカーとして利用すると,毛髪分析の定量性が飛躍的に向上した.
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