今日からできる思春期外来9
思春期外来はまずかかりつけの患者から
横田 俊一郎
1
Syunichirou Yokota
1
1横田小児科医院
pp.788-791
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101024
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Case
不定愁訴の多い17歳女性の例
主訴:1~2週間続く吸気時の左胸部の疼痛.
現病歴:3~4カ月前から下肢の痛みがあり,整形外科を受診したが,問題ないといわれた.1~2週前から左胸の痛みを訴えるようになり,当院を受診した.
既往歴:小さい頃は人見知りや反抗期がほとんどなかった.8歳頃に微熱が続いて診察を受けたが,精神的なものといわれたことがある.10歳から当院を受診するようになり,昼間・夜間の頻尿で相談を受けたが,精査の結果,心理的なものと判断し,その後軽快した.そのほかにも微熱,感冒などでたびたび受診していた.几帳面で生真面目な性格であった.11歳頃から立ちくらみ,微熱など起立性調節障害の症状がみられるようになり,12歳になって給食が食べられない,夕食を異常に食べて気持ちが悪くなるなど,軽度の摂食障害が現れ,学校を休むことが多くなった.某大学病院児童精神科を紹介し,しばらく通院するようになり,学校でのストレスや親との関わり方が一因といわれた.中学生になってからは学校を休むこともなくなった.
家族歴:一人っ子.母親は妊娠中の悪阻がひどく,切迫早産で入院した.患児が15歳の時,母親は咳が続くため当院を受診して不整脈を発見され,拡張型心筋症であることがわかった.入院,服薬や生活制限が必要となったが,現在は落ちついている.
経過:一般的な診察では異常を認めなかったが,患児だけではなく母親の心配も強く,循環器専門医を紹介してホルター心電図,胸部X線,血液検査などの検査を行った.その結果,異常がないことを説明して安心させ,以後症状は消失した.現在は大学生で,元気に通学している.
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