在宅医療技術の進歩19
在宅高齢心不全患者に対するチームアプローチによる長期ケア
西永 正典
1
Masanori Nishinaga
1
1高知大学医学部老年病科
pp.630-633
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100991
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慢性心不全は進行性の疾患であり,高齢者にとっては,入院を何度も繰り返した後に高い死亡率を示す悪性疾患である.また,医療・介護資源を多く要する疾患の1つでもある.その患者数は加齢とともに増加し,米国の最近の報告では,全人口の1%,400万~500万人にも上っており,毎年55万人の新規の心不全患者が発生している.わが国では,心不全患者数の実態は明らかではないが,人口動態からの推計から50万~100万人とされ,心不全の発生と有病率は,米国と同様に急激に増加し続けている.
わが国における心不全の主要な原因心疾患は虚血性心疾患であり,ライフスタイルの欧米化により,虚血性心疾患の発症は今後も増加する傾向にある.一方,急性心筋梗塞などの急性冠動脈症候群や急性心不全に対する治療は,近年著しく進歩し,救命率が改善しているので,虚血性心疾患や心不全による死亡率は減少していくと考えられる.このことは,重症化して高齢に達する慢性心不全患者が増加することにほかならない.したがって心不全の長期管理は,今後,医学的にも,社会・経済的にも,その重要性が増すものと考えられる.
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