感染症フェロー便り[10]
―抗菌薬使用のピットフォール②―ターゲットをカバーしていても…
松永 直久
1
1UCLA Affiliated Program in Infectious Diseases
pp.250-252
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100912
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症例1
49歳,男性.静脈注射常用者.3日前より悪寒・発熱を覚えたため来院.敗血症に対するempirical therapyとしてピペラシリン・タゾバクタム,バンコマイシンが開始された.血液培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出された.他に,エリスロマイシン,クリンダマイシン,テトラサイクリン,リネゾリド,バンコマイシン,セファゾリン,ゲンタマイシンにも感受性があった.
先月は,抗菌薬のカバーが不十分な場合を中心に述べてきました.
上の症例では,起因菌は1つと考えられ,すでにMSSAとわかっており,単剤投与による耐性菌の出現については,結核ほど意識しなくてよさそうです.さらに,種々の感受性試験の結果までわかっており,ターゲットとなる細菌とその菌をカバーする抗菌薬がすでに提示されています.
今回は,ターゲットとなる細菌をカバーしている抗菌薬を用いているにもかかわらず陥るピットフォールについて述べていきます.
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