特集 診療所での上手な抗菌薬の使い方
【診療所での抗菌薬の品揃え―私はこうしている】
②点滴抗菌薬
山下 大輔
1
1Oregon Health & Science University Family Medicine
キーワード:
点滴抗菌薬
,
薬理
,
セファロスポリン系
,
市中感染症
,
経口抗菌薬
Keyword:
点滴抗菌薬
,
薬理
,
セファロスポリン系
,
市中感染症
,
経口抗菌薬
pp.622-625
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100390
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Question & Answer
Q:診療所におく点滴抗菌薬はどのようなものがよいか?
A:半減期が長く1日1回の投与が可能,かつ診療所で扱う市中感染症の原因菌の多くに活性のある第3世代セファロスポリンのセフトリアキソンが第一選択である.ただしその使用には治療における抗菌薬の必要性,経口抗菌薬での治療の可能性などを検討して慎重に行うべきである.他の点滴抗菌薬も薬理を理解し,使用する感染症の原因菌を考慮して採用を検討すべきである.
診療所において点滴抗菌薬を検討する場合はどのような時だろうか? 経口摂取が難しい時や,重症であることがあげられ,むしろ点滴抗菌薬が必要な時は入院の必要がないかを検討したい.一方で,家族の状況や仕事の都合で外来での点滴治療を希望される方はそれなりに多い.また積極的に往診を行う診療所であるならば,入院を極力したくないという患者や家族の期待に沿えるような努力が必要になってくることもあるかもしれない.今回の保険診療報酬改定にもみられるように,今後在宅診療への移行がすすめば,今までは入院で管理していたような病態も外来・在宅で治療してゆくことが考えられ,診療所における点滴抗菌薬の使用の機会も増えてゆくと思われる.このような時でも可能な限り,効果的な抗菌薬の使用を心がけたいものである.
本稿では日本における標準的な診療所での急性期感染症を想定しており,海外で行われているような長期の抗菌薬投与が必要な病態,すなわち感染性心内膜炎のバンコマイシンの外来点滴などについては範囲外としていることを最初にお断りしたい.
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